障害年金のことを調べ始めると、専門用語の多さに圧倒されてしまうことがあります。
年金事務所の説明は正確です。でも、初めての方には少し難しい。
この記事では、「これを読めばまず動ける」を目標に、障害年金の全体像をできるだけやさしく整理しました。
「知っていさえすれば、手が打てた」を、ひとつでも減らせたらと思っています。
障害年金は「働けない・生活が難しい」を支える公的年金
障害年金は、病気やケガで生活や仕事に支障が出たときに受け取れる公的な年金です。
「障害」という名前がついていますが、障害者手帳がなくても申請できます。うつ病などの精神疾患、がん、糖尿病などの内部疾患も対象になることがあります。
受給には3つの要件すべてを満たす必要がある
障害年金を受け取るには、次の3つをすべて満たす必要があります。
① 初診日の要件
その障害の原因となった病気・ケガで、初めて病院にかかった日(初診日)に、国民年金または厚生年金に加入していること。
② 保険料納付の要件
初診日の前日までに、一定期間の保険料を納めていること(免除期間も含みます)。
③ 障害状態の要件
障害認定日(原則、初診日から1年6ヶ月後)に、法律で定められた障害の状態にあること。
なお、20歳前に初診日がある場合は、②の保険料納付要件は問われません。
※要件の細かい判定は個別性が高いため、年金事務所での確認をおすすめします。
申請は7つのステップで進む
全体の流れを図にしました。

- 初診日を確認する
- 保険料の納付状況を確認する(年金事務所で確認できます)
- 年金事務所などで相談する(必要書類一式と診断書の書式を受け取る)
- 医師に診断書を依頼する
- 病歴・就労状況等申立書を作成する
- 書類一式を提出する
- 審査結果を待つ(決定まで約3〜4ヶ月が目安)
障害年金は書類審査のみで決まります。面接はありません。だからこそ、診断書と申立書の中身がとても大切になります。
診断書と申立書は「役割」が違う
申請書類の中で特に重要なのが、この2つです。
診断書は、医師が作成する医学的な評価です。審査の中心になる書類で、作成できるのは医師・歯科医師のみ。作成料は3,000〜7,000円ほどかかることが多いです。
病歴・就労状況等申立書は、発症から現在までの経過や生活の実態を、自分の言葉で伝える書類です。診断書には書ききれない「日常生活のリアル」を伝えられる、唯一の書類とも言われています。
診断書が「医師の視点」、申立書が「本人・家族の視点」。両方そろって、審査する側に状況が伝わります。
申立書は本人以外が書いてもいい
これは意外と知られていないのですが、申立書は本人だけが書くものではありません。
本人による記載が難しい場合は、家族や、これまでの経過をよく知る支援者(ケースワーカーなど)が代筆できます。社会保険労務士に作成を依頼することもできます。
申立書の裏面下部に代筆者の欄があるので、代筆した方の氏名と本人との関係(「母」「支援者」など)を記載すればOKです。
「本人が書けないから申請できない」とあきらめる必要はありません。
申立書の具体的な書き方や、支援者としてのヒアリングのコツは、こちらの記事で詳しく書いています。
▶ 【第1部】障害年金「病歴・就労状況等申立書」損しない書き方
▶ 【第2部】申立書は「書く作業」より「聴く作業」がいちばん難しい
必要書類は「全員共通+状況に応じて追加」
すべての方に必要な書類はこちらです。
- 年金請求書
- 基礎年金番号がわかるもの(年金手帳・基礎年金番号通知書など)
- 診断書(所定の書式)
- 病歴・就労状況等申立書
- 受取先金融機関の通帳など
- 本人確認書類
配偶者やお子さんがいる場合は、戸籍謄本や所得証明などが追加で必要になることがあります。状況によって変わるため、ステップ3の相談時に確認しておくと安心です。
年金額は等級によって決まる(令和8年度)
障害基礎年金の金額です(令和8年4月分から)。
| 等級 | 年額 | 月額換算 |
|---|---|---|
| 1級 | 1,059,125円 | 約88,260円 |
| 2級 | 847,300円 | 約70,608円 |
※昭和31年4月2日以後生まれの方の金額です。
子の加算(生計を同じくするお子さんがいる場合)
- 1人目・2人目:1人につき243,800円
- 3人目以降:1人につき81,300円
※「子」とは、18歳になった後の最初の3月31日までのお子さん、または20歳未満で障害等級1級・2級の状態にあるお子さんを指します。
厚生年金に加入していた方は、これに障害厚生年金(報酬比例)が上乗せされます。厚生年金には3級と障害手当金(一時金)もあります。
また、1級・2級の方には年金生活者支援給付金(1級 月7,025円・2級 月5,620円)が別途支給されることがあります。こちらは別の手続きが必要なので、忘れずに。
▶ 関連記事:障害年金受給者が見落としがちな給付金|知らないと損する月5,620円〜の上乗せ制度
申請前のチェックリスト
動き出す前に、この5つを確認しておくとスムーズです。
- □ 初診日が確定できているか
- □ 保険料の納付状況を年金事務所で確認したか
- □ 病院に障害年金の診断書を書いてもらえるか確認したか
- □ 診断書の作成料(3,000〜7,000円ほど)を準備したか
- □ 申立書を誰が書くか決めたか(本人・家族・支援者・社労士)
迷ったら、専門家に相談するのもひとつの選択肢
障害年金の申請は、自分や家族だけでも十分できます。
ただ、初診日の証明が難しいケースや、過去にさかのぼって請求したいケースなど、判断が分かれる場面では、社会保険労務士などの専門家に相談する方が安心なこともあります。
初回相談を無料にしている事務所も多いので、「これは自分で判断できないな」と感じたら、一度話を聞いてみるのもいいのではないでしょうか。
最後に
障害年金は、要件も書類も多くて、入口で立ち止まってしまう方が少なくありません。
でも、ひとつずつ進めば大丈夫です。
そして、ひとりで抱える必要もありません。家族でも、支援者でも、専門家でも、頼れる人と一緒に進めていい制度です。
「知っていさえすれば、手が打てた」が、この記事で少しでも減りますように。
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申請の進め方や受給額の見通しに不安がある方は、専門家への無料相談も選択肢のひとつです。

制度の内容や金額は改定されることがあります。注意深くまとめていますが、誤りがあれば都度修正します。正確な制度内容や最新の情報は、日本年金機構の公式サイトや年金事務所などの関係機関でご確認いただけますと安心です。
※この記事は、夫婦の現場経験をもとに書いています。
ゆるきりん🦒
