知らなかっただけで、申請すらしていなかった
ある日、私が支援していた方から相談を受けました。
精神疾患を抱えながら、家族を養いながら、毎日をなんとか生き抜いていた方です。
障害年金という制度を知らなかったため、申請すらしていませんでした。
一緒に申請を進め、受給が決まった時、こう言ってくれました。
「良かった。ありがとうございました。」
その方には高校進学を控えた娘さんがいました。
障害年金は間接的に家族の生活を支え、進学への不安を減らすことにもなりました。
知っているか、知らないかで人生や生活が変わるかもしれないです。
この記事はそのために書きました。
「病歴・就労状況等申立書」が等級を左右する
障害年金の申請には複数の書類が必要です。
その中に「病歴・就労状況等申立書」という書類があります。
日本年金機構は「障害状態を確認するための補足資料」と説明しています。
⚠️ でも、補足ではなく、この書類も等級に影響します。
診断書はドクターが書きます。ドクターが見ているのは診察室の中の姿や話だけです。
毎日の生活、眠れない夜、風呂に入れない日、家の中の状態。
それを伝えられるのは本人・家族・支援者だけです。
「病歴・就労状況等申立書」はその実態を伝える貴重な書類です。
最終的にはドクターの見立てに基づきますが、申立書を加味して判断されることも
見受けられるため、大変な作業ですが丁寧に取り組んでもらえると良いと思います。
日常生活の評価項目と正しい判定基準
この書類には日常生活の状況を評価する10項目があります。
| カテゴリ | 評価項目 |
|---|---|
| 身の回り | 着替え/洗面/トイレ/入浴 |
| 生活全般 | 食事/散歩/炊事/洗濯 |
| 家事・外出 | 掃除/買物 |
それぞれを以下の4段階で評価します。
- 自発的にできた
- 自発的にできたが援助が必要だった
- 自発的にできないが援助があればできた
- できなかった
「2」か「3」か|客観的な判断をする
ここに大きな落とし穴があります。日本人特有の謙遜・遠慮が等級に影響しかねません。
「少しでもできるなら、できないわけじゃないから、できるに○をつける」
当事者も家族も、そう考えがちです。
✅ 正しい判定基準
日常生活とは「安定してできるか」どうかです。
たまにできる日があっても、できない日がある時点で「できている」とは言えません。
できない時があるなら、できないという判定を書きます。
生活の実態をきちんと書き記してください。
「具体的に書く」とはどういうことか
社労士に申立書を見てもらった時、こう言われました。
「もっと具体的に書いてください」
漠然とした表現は審査側に伝わりません。以下のビフォーアフターを参考にしてみて下さい。
【入浴】
| ❌ ビフォー | 「お風呂に1人では入れない」 |
| ✅ アフター | 「お風呂に入る体力気力がないため、週に1回理容院で洗髪している。それ以外の日はシャワーを浴びたり浴びなかったりする。夏でも体をふくだけで過ごすときもある。家族も働きに出ているためケアすることは困難である。」 |
【洗濯】
| ❌ ビフォー | 「洗濯は1人では難しい」 |
| ✅ アフター | 「洗濯機を回すことはできるが、干してたたむことができない。洗濯機で乾燥させたものはそのままになることも多く、そこから取り出して使っている。取り込んだ洋服なども室内に散乱している」 |
【掃除】
| ❌ ビフォー | 「家の中の掃除や清潔さが保てない」 |
| ✅ アフター | 「家の中は、犬の世話ができずエサは散らかり糞尿があちらこちらに残されていて異臭が立ち込めている。毎日歯磨きすることも難しく、歯科でケアしている」 |
「できない」という結論ではなく
「どのようにできないか」を具体的に書くことが重要です。
受給までのタイムライン|逆算して動く
申請を思い立ったら、すぐに動いてください。理由は時間がかかるからです。
STEP 1|年金事務所の予約
→ 1〜2ヶ月先になることが多い
⏰ 思い立ったらすぐ予約!
STEP 2|ドクターへの診断書依頼
→ 早くても1〜2週間はかかる。下手したら1~3ヶ月かかったと聞いたこともあります。
⏰ 予約日から逆算して早めに依頼
STEP 3|書類準備・申立書記入
STEP 4|年金事務所で申請
STEP 5|審査(約3〜4ヶ月)
STEP 6|受給開始
実際のケースでは8月に動き始めて1月に受給開始でした。トータル約6ヶ月かかっています。
窓口に行く前に準備するもの
最悪、手ぶらで行っても大丈夫です。ただし以下のものがあると手間が省けます。
- 障害者手帳(*障害者手帳がなくても申請できます)
- 年金手帳または基礎年金番号がわかるもの
- お薬手帳
- マイナンバーカード
- 配偶者がいる場合は配偶者分も
正確な必要書類は日本年金機構の公式サイトで確認してください。
社労士への相談という選択肢
申立書は自分でも身の回りの人でも書くことができます。
ただ、事前に社会労務士にチェックしてもらいました。
プロに見てもらう価値がありました。
市区町村によっては無料で社会労務士相談ができる場合もあります。
住んでいる地域の役所に問い合わせてみてください。
受給後のお金の使い方も考える
受給が決まったら、次はお金の使い方を考えることも大切です。
障害年金は生活を安定させるための制度ですが、
受給後の家計設計を専門家に相談することで、より安心な生活設計ができます。
【PR】FP無料相談はこちら

まずどこに連絡すればいい?
住んでいる地域の役所に電話してください。
「障害年金の申請について相談したい」と伝えれば、担当課につないでもらえます。
どの課にかけても大丈夫です。代表番号でも問題ありません。
窓口の担当者は思っている以上に親切です。
書類で分からないことがあれば、その場で教えてもらえることもあります。
まず電話する。それだけでいいです。
おわりに
申請した方がこんな言葉を残してくれました。
「知らなかったから、こんなものがあるなんて思ってもみなかった。助かりました。」
その方の障害年金は、本人だけでなく娘さんの高校進学も間接的に支えました。
生活の不安材料が減ることで、精神疾患の悪化リスクも下げられた面があったかも知れないとも思います。
活用できる制度をフルで活用して、穏やかな生活、自立した生活に向かいましょう。
一緒に前に進みましょう。

※この記事の内容は筆者の実務経験に基づくものです。正確な制度内容・必要書類は日本年金機構の公式サイトをご確認ください。申告内容は必ず事実に基づいて記載してください。

コメント