障害福祉について調べていると、
「市役所の障害福祉窓口」
「相談支援センター」(地域の相談窓口につけられた名称の場合があります)
「相談支援事業所」
「基幹相談支援センター」
「児童発達支援センター」
と、似たような名前がいくつも出てきます。
先に一つ整理すると、「相談支援センター」は、ほかの4つと並ぶ全国共通の別の制度名とは限りません。
自治体や法人が、地域の相談窓口につけている名称の場合があります。
私も最初、
「なんとなくつながっているのは分かるけど、何がどう違うの?」
という状態でした。
まず結論。ざっくり4つに分ける
細かい制度はあとで説明します。
まずは、このくらいの違いを知っておけば全体像が見えやすくなります。
- 市区町村の障害福祉担当窓口:制度・申請などを扱う行政の窓口
- 相談支援事業所:本人や家族の困りごとを整理し、サービス利用などを一緒に考える
- 基幹相談支援センター:個別の相談にも対応しながら、地域の相談支援全体を支える中核
- 児童発達支援センター:子どもの発達支援と、地域の障害児支援の中核
そしてもう一つ大事なのが、
「全国どこでも、まずここに相談すればいい」と決まっているわけではない
ということです。
自治体によって、窓口の名称や相談体制が違います。
どこに相談したらいいか分からない場合は、市区町村の障害福祉担当窓口に聞いてみるのが、一つの分かりやすい入口です。
一方で、地域の相談支援センターや基幹相談支援センターなどが身近な相談窓口として案内されている場合は、そこへ直接相談する方法もあります。

市区町村の障害福祉担当窓口は「行政の窓口」
まず、市役所や区役所です。
「障害福祉課」「障害者支援課」など、担当部署の名称は自治体によって違います。
たとえば、
- 障害福祉サービスについて知りたい
- 放課後等デイサービスを利用したい
- 受給者証について聞きたい
- 移動支援について相談したい
- 障害者手帳の手続きを知りたい
といったときの相談先の一つです。
障害福祉サービスや障害児通所支援では、市区町村への申請などを経て、利用するサービスや本人の状況に応じた支給決定・通所給付決定が行われます。
具体的な手続きは、利用するサービスによって異なります。
相談支援事業所は「一緒に整理するところ」
相談支援事業所は、市役所とは少し役割が違います。
ここでややこしいのが、「相談支援センター」と「相談支援事業所」という似た名前です。
「相談支援事業所」は、相談支援専門員などが相談や利用計画の作成を行う事業所です。
一方、「相談支援センター」は、全国共通の一つの制度名として使われているとは限りません。
自治体や運営法人が、地域の相談窓口に「○○相談支援センター」という名称をつけている場合があります。
そのセンターが、相談支援事業所として利用計画を作る場合もあれば、市区町村から委託された相談窓口として相談を受ける場合もあります。
つまり、「相談支援センター」が「相談支援事業所」の中にあるのではなく、施設の名前と、制度上担っている仕事が別にあるということです。
そのため、名前だけでは役割を判断しにくく、実際に何を相談できるかは、自治体の案内などで確認する必要があります。
相談支援専門員などが本人や家族の話を聞き、
- 今、何に困っているのか
- どんな生活をしたいのか
- 家族は何に負担を感じているのか
- どんな福祉サービスが使えそうか
- 学校・医療・福祉をどうつなぐか
などを一緒に整理します。
障害福祉サービスでは「サービス等利用計画」、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの障害児通所支援では「障害児支援利用計画」を作る相談支援があります。
利用が始まったあとも、状況を確認するモニタリングなどを行います。
国の制度上は、「相談支援事業所」にもいくつか種類があります。
この違いは、単純な「大人向け」「子ども向け」ではありません。
年齢よりも、利用するサービスの制度で分かれます。
障害福祉サービスの計画相談を担う指定特定相談支援事業者(居宅介護・短期入所・就労支援など、障害福祉サービスの利用計画を作る事業所。子どもが対象になることもあります)、障害児通所支援について相談する指定障害児相談支援事業者(児童発達支援・放課後等デイサービスなど、障害児通所支援の利用計画を作る事業所)などです。
障害児は原則として18歳未満ですが、放課後等デイサービスには、市区町村が必要と認めた場合に20歳まで利用できる特例があります。
そのため、「18歳になったら、相談先が必ず一斉に切り替わる」とは言い切れません。
両方の指定を受けている事業所もあります。
この記事では、読みやすさを優先して、まとめて「相談支援事業所」と呼んでいます。
サービスの利用計画には、相談支援専門員が作る「サービス等利用計画案」や「障害児支援利用計画案」があります。
これに対して、本人や家族などが計画案を作る方法が「セルフプラン」です。
つまり、相談支援事業所に計画を作ってもらう方法と、本人や家族側で作る方法があります。
セルフプランの扱いや書式は自治体によって異なることがあります。
基幹相談支援センターは「地域の相談支援の中核」
私が特に分かりにくかったのが、基幹相談支援センターです。
名前だけ聞くと、
「相談支援事業所を取りまとめる上位機関?」
という印象もあります。
でも、単純な上下関係ではありません。
基幹相談支援センターは、本人や家族からの総合的・専門的な相談に対応するとともに、
- 相談支援に関わる人への助言や支援
- 人材育成
- 関係機関との連携
- 地域の相談支援体制づくり
なども担います。
つまり、
本人への相談支援だけではなく、地域で相談を受ける人や仕組みそのものも支える
という役割があります。
基幹相談支援センターも、本人や家族の相談を受ける「現場」です。
ただし、個別相談だけを行う場所ではありません。
相談が難しいケースを一緒に考えたり、地域の相談支援事業所へ助言したり、関係機関をつないだりする役割もあります。
上から指示を出す司令塔というより、相談支援分野の専門拠点と考えると、少し分かりやすいかもしれません。
2024年4月から、市町村による基幹相談支援センターの設置は努力義務となりました。
ただし、すべての市区町村にすでに設置されているわけではありません。
複数の市町村が共同で設置している場合もあります。
基幹相談支援センターがない地域でも、市区町村や地域の相談支援事業者などによって相談体制がつくられています。
児童発達支援センターは「子どもの発達支援の中核」
子どもの相談をしていると、児童発達支援センターという名前もよく出てきます。
児童発達支援センターは、児童発達支援を行う施設であるとともに、地域の障害児支援の中核的な役割を担います。
たとえば、
- 子どもへの発達支援
- 家族への支援
- 保育所など地域の関係機関への支援
- 地域の障害児支援事業所との連携
などです。
児童発達支援センターを中核とした地域の障害児支援体制の強化は、2024年4月施行の改正児童福祉法を踏まえて進められています。
ただし、相談できる内容や受付方法などは、自治体や施設によって異なります。
「児童発達支援センターなら、全国どこでも同じように直接相談できる」というわけではありません。
児童発達支援センターについては、こちらの記事でも詳しく整理しています。
基幹相談支援センターと児童発達支援センターは「何の中核か」が違います
どちらにも「地域の中核」という説明が出てくるため、違いが分かりにくくなります。
| 相談先 | 何の中核か | 直接行うことの例 |
|---|---|---|
| 基幹相談支援センター | 子ども・大人を含む、地域の相談支援体制 | 本人・家族の相談、難しい相談への対応、相談員への助言、関係機関の連携 |
| 児童発達支援センター | 地域の障害児支援・発達支援 | 子どもへの発達支援、家族支援、保育所などへの支援、障害児支援事業所との連携 |
基幹相談支援センターは「相談する人や、相談を受ける仕組み」を支える拠点です。
児童発達支援センターは「子どもの発達を直接支えながら、地域の障害児支援も支える」拠点です。
結局、最初はどこへ相談すればいい?
迷ったら、まずは市区町村の障害福祉担当窓口へ相談します。
全国共通の唯一の入口という意味ではありませんが、制度の申請や支給決定を担い、地域の相談先を案内できる行政窓口だからです。
電話で、
「障害福祉について相談したいけれど、どこへ話せばいいのか分かりません」
と伝えるところからでもよいと思います。
ここまで調べても、
「じゃあ結局、私はどこへ行けばいいの?」
となるかもしれません。
ざっくり整理すると、こんな感じです。
| 困っていること | 相談先の候補 |
|---|---|
| 制度や申請について知りたい | 市区町村の障害福祉担当窓口 |
| 放デイなどの利用計画を相談したい | 相談支援事業所 |
| 何に困っているのかから一緒に整理したい | 相談支援事業所・地域の相談窓口 |
| 複数機関が関わるなど相談が複雑 | 市区町村・基幹相談支援センターなど |
| 子どもの発達や発達支援について相談したい | 地域の発達相談窓口・児童発達支援センターなど |
ただし、これは全国共通の振り分け表ではありません。
地域によって相談体制は違います。
だから、
「どこへ相談するのか分からない」こと自体を相談していい
と私は思っています。
市区町村の窓口へ伝え、担当できる内容が違えば、地域の相談支援事業所や基幹相談支援センターなどを案内してもらう流れが、一つの分かりやすい動き方です。
最初から制度を全部理解して、完璧な窓口を選ぶ必要はありません。
相談の先には、いろいろな支援がある
相談先が少し分かるようになると、その先にあるサービスも見えやすくなります。
子どもに関係するものだけでも、
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
- 保育所等訪問支援
- 短期入所
- 居宅介護
- 移動支援
- 行動援護
などがあります。
同じ障害名や同じ障害者手帳を持っていても、必要な支援は本人や家庭によって違います。
また、障害者手帳と障害福祉サービスの利用手続きは別の制度です。
手帳を持っているかどうかだけで、すべてのサービスの利用可否が決まるわけではありません。
放課後等デイサービスの利用や受給者証の手順は、「放課後等デイサービスの使い方〜対象・費用・受給者証の段取りをまとめました〜」でも整理しています。
障害福祉は、子どもと大人、相談支援とサービス提供など、制度が細かく分かれています。
福祉現場で長く働いていても、担当する分野が変われば、初めて知る仕組みがあります。
だからこそ、現場経験だけで言い切らず、公式資料を確認しながら、利用する方が迷いやすいところを整理していこうと思います。
まとめ
最初は、
「市役所?」
「相談支援センター?」
「基幹相談支援センター?」
「児童発達支援センター?」
と、かなり分かりにくく感じました。
でも、まずは、次のように分けると見やすくなります。
| 相談先 | ざっくりした役割 |
|---|---|
| 市区町村の障害福祉担当窓口 | 制度・申請・支給決定と、地域の相談先の案内 |
| 相談支援事業所 | 本人や家族と、生活やサービス利用を一緒に整理する |
| 基幹相談支援センター | 本人・家族の相談に加え、地域の相談支援体制を支える専門拠点 |
| 児童発達支援センター | 子どもへ発達支援を行い、地域の障害児支援も支える拠点 |
このくらいの整理から始めると、少し分かりやすくなります。
どこに相談するか迷ったときは、
「何に困っているか」
「どこに相談すればいいのか分からない」
というところから伝えてみるのも、一つの方法です。
※障害福祉の相談体制、担当部署の名称、各機関の設置状況や相談方法は自治体によって異なります。実際に相談するときは、お住まいの市区町村の公式情報もご確認ください。
こんな記事も書きました☕
- 何度言っても伝わらない、癇癪(かんしゃく)にイライラ、うちの子何か違う?〜『様子を見ましょう』の先にある児童発達支援センター
- 放課後等デイサービスの使い方〜対象・費用・受給者証の段取りをまとめました〜
参考・出典
- 障害のある人に対する相談支援について(厚生労働省)
- 基幹相談支援センターについて(厚生労働省)
- 障害者地域生活支援体制整備事業(厚生労働省)
- 地域における児童発達支援センター等を中核とした障害児支援体制整備の手引き(こども家庭庁)
- 障害児通所給付費に係る通所給付決定事務等について(こども家庭庁)
※この記事は、2026年8月時点の厚生労働省・こども家庭庁の公式資料を確認し、福祉現場で感じた疑問をもとに整理しています。制度や相談体制は地域によって異なるため、実際に相談するときは、お住まいの市区町村の最新情報もご確認ください。
ゆるきりん🦒
