福祉の仕事を長くしてきた私も、「受給者証」と聞くと、障害福祉サービスや放課後等デイサービスで使うもの、というイメージを持っていました。
私が経験した中では、放課後等デイサービスなどで使う書類は「受給者証」
医療費の負担を軽くする制度は「自立支援医療」と呼ぶことが多かったからです。
放課後等デイサービスを利用したい家庭へ説明するために制度を調べていたとき、正式な書類の名前が「自立支援医療受給者証」だと知りました。
「これも受給者証なの?」と、少し混乱しました。
反対に、「通所受給者証」という正式名称は資料では見かけても、普段の会話で耳にした記憶がほとんどありません。
正式名称と普段の呼び方が違ううえに、似た名前の書類がいくつもあります。私も全部は覚えられず、今もメモを手元に置いて確認しています(笑)。
放課後等デイサービスを利用する家庭には、「利用には受給者証が必要なので、市区町村の窓口で相談してください」と案内していました。
調べてみると、受給者証は1枚の共通カードではありません。
制度ごとに目的が違い、それぞれの制度に応じて交付されます。
この記事では、放課後等デイサービスで使う「通所受給者証」を中心に、障害者手帳や医療の受給者証との違いを整理します。
先に結論〜「受給者証」は制度ごとに別のものです
受給者証とは、サービスや医療を利用できること、その内容などを示す書類です。
「受給者証」という1枚の共通カードがあるわけではありません。

| 名前 | 主な役割 | 主に提示する場所 |
|---|---|---|
| 通所受給者証 | 放課後等デイサービスや児童発達支援などを利用するための支給決定を示す | 障害児通所支援の事業所 |
| 障害福祉サービス受給者証 | 居宅介護や生活介護など、決定された障害福祉サービスの内容を示す | 障害福祉サービス事業所 |
| 自立支援医療受給者証 | 指定された医療の自己負担を軽くするために使う | 指定医療機関や薬局 |
| 自治体などの医療証・受給者証 | それぞれの制度に応じて医療費を助成する | 対象となる医療機関など |
| 障害者手帳 | 障害の状態や等級について、制度上の認定を受けていることを示す | 行政手続きや各種サービスなど |
それぞれの受給者証を、対象となる場面で使い分けます。
ただし、1枚ですべての制度に対応するわけではありません。
利用している制度が複数あれば、複数の受給者証や手帳を持つことがあります。
放課後等デイサービスで使う書類の正式名称は「通所受給者証」です
放課後等デイサービスを利用する場合、市町村へ障害児通所給付費の支給申請を行います。
支給決定を受けると交付されるのが、通所受給者証です。
通所受給者証には、主に次のような内容が記載されます。
- 利用できる障害児通所支援の種類
- 1か月に利用できる日数などの支給量
- 支給決定の有効期間
- 利用者負担の上限月額
- 受給者証番号
こども家庭庁は、通所受給者証を「通所給付決定を受けていることと、その内容を証するもの」と整理しています。
つまり、会員証というより、市町村が「この内容でサービスの利用を認めています」と示す書類に近いものです。
なお、通所受給者証の見た目は、自治体によって少し違うことがあります。
通所受給者証と障害者手帳は別のものです
ここも混同しやすいところです。
障害者手帳は、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の3種類をまとめた呼び方です。
一方、通所受給者証は、放課後等デイサービスなどの利用について、市町村から支給決定を受けていることを示します。
手帳があるから自動的に放課後等デイサービスを利用できるわけではなく、別に通所支援の申請が必要です。
反対に、通所受給者証を持っているから、障害者手帳も交付されているとは限りません。
こども家庭庁の事務要領では、通所給付決定にあたり、医学的な診断名や障害者手帳は必須要件ではないとされています。
手帳を持っていない場合でも、市町村が関係機関への確認などを行い、支援の必要性が認められれば対象になることがあります。
必要となる書類や確認方法は自治体によって違うため、申請先での確認が必要です。
通所受給者証は、その子の全部を決めるラベルではありません
通所受給者証は、その子の障害の状態や等級を認定する障害者手帳とは、役割が違います。
私は、受給者証を、その子の全部を「障害」という言葉で決めるものだとは考えていません。
その子に合った支援を利用するための、ひとつの道具に近いものだと感じています。
人には、それぞれ得意なことや苦手なこと、身体や心の特徴があります。その特徴によって生活しづらさが生まれ、外からの支援が役立つこともあります。
「障害と認定されるのか」という言葉が気になる場合でも、まずは今どんな支援があると過ごしやすくなるのかを、窓口で相談してみてもいいのだと思います。
障害者手帳は、種類によって判定や申請方法が違います
障害年金の手続きでは、医師の診断書を使います。
そのイメージから、私は障害者手帳にも同じように医師の診断書や意見書が必要だと思っていました。
実際には、手帳の種類によって判定や申請方法が違います。

| 手帳 | 認定・申請の大まかな違い |
|---|---|
| 身体障害者手帳 | 指定医師の診断書・意見書を添えて申請します |
| 療育手帳 | 児童相談所や知的障害者更生相談所などで判定を受けます |
| 精神障害者保健福祉手帳 | 医師の診断書を使う方法のほか、精神障害を理由とする障害年金の年金証書などを使える場合があります |
「手帳」と一括りにすると、ここでも話がずれることがあります。
窓口へ相談するときは、手帳の種類まで伝えると確認が進みやすくなります。
自立支援医療で使う書類は「自立支援医療受給者証」です
医療分野にも、正式名称に「受給者証」が入る書類があります。
自立支援医療で使う書類の正式名称は「自立支援医療受給者証」です。
自立支援医療受給者証は、対象となる医療について、所得などに応じて自己負担を軽減するために使います。
自立支援医療には、精神通院医療・更生医療・育成医療があります。
このほかにも、指定難病の医療受給者証や小児慢性特定疾病医療受給者証、自治体独自の医療証などが交付されることがあります。
これらは、放課後等デイサービスで使う通所受給者証とは別の制度です。
自立支援医療受給者証などの医療分野の受給者証を、放課後等デイサービスの事業所へ提示して、通所支援の利用日数を確認してもらう、という使い方はしません。
受給者証は、全部で何種類あるのでしょうか
結論から言うと、全国共通で「全部で何種類」と一つの数字にまとめるのは難しいです。
障害福祉の制度だけでも、通所受給者証、障害福祉サービス受給者証、地域相談支援受給者証などがあります。
さらに、自立支援医療受給者証、指定難病の医療受給者証、小児慢性特定疾病医療受給者証、自治体独自の医療証などもあります。
大切なのは、種類をすべて暗記することではありません。
書類を渡されたときに、次の3点を確認できれば、かなり整理しやすくなります。
- 何の制度で使うものか
- どこへ提示するものか
- 有効期限や更新手続きはあるか
分からないときは、窓口で「これは、どのサービスや医療で使う受給者証ですか」と聞いて大丈夫です。
正式名称と普段の呼び方が違い、同じ「受給者証」という言葉も出てくるため、混乱するのは自然なことだと思います。
放課後等デイサービスを使う場合は、通所受給者証の申請から始まります
放課後等デイサービスの対象や費用、見学から利用開始までの流れは、別の記事でまとめています。
放課後等デイサービスの使い方〜対象・費用・受給者証の段取りをまとめました〜
自治体によって、申請書類や面談、利用計画の作り方が違うことがあります。
利用を考え始めた段階で、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口へ「放課後等デイサービスを利用したい」と伝えると、必要な手続きを案内してもらえます。
利用日数や有効期間、利用者負担の上限月額などを最初から全部覚える必要はありません。
まずは市区町村の窓口へ、何を利用したいのか伝えて相談することが、最初の一歩になります。
おわりに
「受給者証」と聞いたとき、私は福祉サービスで使うものを思い浮かべていました。
でも、医療にも正式名称に「受給者証」が入る書類があります。
書類の正式名称と、普段の会話で使う呼び方が違うこともあります。
制度の名前は、知っている人だけを相手にしているように感じることがあります。
けれども、全部を覚える必要はありません。
何に使う書類なのか。
どこへ見せるものなのか。
そこが分かれば、次に確認する窓口が見えてきます。
似た名前の書類を前にして立ち止まったとき、この記事が整理する足場のひとつになればうれしいです。
※制度や必要書類は自治体によって異なることがあります。申請前に、お住まいの市区町村の担当窓口で最新情報をご確認ください。
※この記事は、こども家庭庁・厚生労働省などが公表している資料と、福祉現場で感じた疑問をもとに整理しています。
ゆるきりん🦒
