実は今、わが家の下の子が「就学相談」を受けている最中です。
今回、誰かに勧められたわけではなく、私たち親が前向きに申し込みました。
困っている部分もありつつ、前向きな気持ちで申し込みました
きっかけは、子どもに気になる特徴がいくつかあったからです。精神的に打たれ弱く、見通しが立たないと動き出せない。イレギュラーな変化は苦手で、集団の中では自分をあまり出せず、埋もれてしまいがち。
だからこそ、専門家の目でちゃんと見てもらって、学校でも少し気を配ってくれたらありがたい、というのが正直な動機です。困っている部分もありつつ、「この子に合った関わり方を、専門家の力も借りて見つけたい」という気持ちのほうが大きいので、不安よりも前向きな気持ちで臨んでいます。
ただ、こう前向きに思えるのは、現場でこの制度をずっと見てきたからかもしれません。実際には、就学相談と聞いて身構えてしまう親御さんのほうが多い、というのも現場の実感です。この記事では、そのギャップも含めて、就学相談という制度について書いてみようと思います。
就学相談に対して、ネガティブなイメージが先に立ちがちです
就学相談と聞いて、こんなふうに身構える方は多いのではないでしょうか。
- 受けたら「障害がある子」と決めつけられるのでは
- 普通学級には行けなくなるのでは
- 一度相談したら、後戻りできない記録になるのでは
- 先生や周りの目が変わってしまうのでは
私自身はさっき書いたとおり、あまり不安を感じていません。ただ、現場で色々な親御さんを見てきた実感としては、何が一番不安なのかは、親御さんによってかなり違うと感じています。たとえば、こんな声もよく聞きます。
- 自分の子に違和感がなく、普通学級ではないクラスがどういうものかよく分からないから不安
- うちの子は変ではないと思うから、行かせたくない
- もう改善したと思うから、今さら必要ないのでは
- 親である自分にも似たような特徴があったと思うけれど、社会でやれているから、この子も大丈夫なはず
- 「障害」というレッテルが貼られる気がする
- そもそも、そういう制度があることを知らなかった
- 必要性がよく分からず、ただ面倒な作業に感じる
「自分の子は大丈夫」「自分も昔はそうだったけど今は平気」という気持ちも、よく分かります。親としての自然な感覚だと思います。それでも、実際に検査や相談を通して分かることもある、というのが次の話です。
でも、現場で見てきたことと、これから制度として説明することを踏まえると、就学相談は「特別な子のための手続き」ではなく、「わが子に合った関わり方を一緒に考えるための場」だと、私は考えています。
就学先は、保護者の意向が最大限尊重される仕組みになっています
これは知っておくと、気持ちがかなり楽になるポイントだと思います。
2013年(平成25年)に学校教育法施行令が改正され、就学先の決定は、市区町村の教育委員会が一方的に決めるものから、本人・保護者の意向を最大限尊重しながら、専門家や学校とも合意形成をしていく仕組みに変わりました。
障害の状態、本人の教育的ニーズ、保護者の意見、専門家の見地、学校や地域の状況——こうした情報を踏まえて、「その子にとって一番いい学びの場はどこか」を、みんなで一緒に考えていくプロセスなんですね。「一方的に振り分けられる」ものではないというのは、大事なポイントだと思います。
学びの場には、いくつかの選択肢があります
| 学びの場 | ざっくり言うと |
|---|---|
| 通常学級 | いわゆる、よくイメージされる学校のクラス |
| 通級指導教室 | 普段は通常学級で過ごし、必要な時間だけ個別・小集団の指導を受ける |
| 特別支援学級 | 少人数で、その子に合わせた指導を受ける学級 |
| 特別支援学校 | より専門的な支援体制が整った学校 |
どれかに「決められる」というより、選択肢を知った上で、その子に合いそうな場を一緒に探すイメージです。
申し込みは保護者から。GW明けに申請開始〜秋頃に決定が目安です
就学相談は、就学時健康診断と違って、自動的に案内が来るものではありません。気になったら、保護者から申し込む仕組みです。電話で教育委員会に連絡するか、通っている園を通じて申し込むのが一般的なようです。
時期の目安としては、年長のゴールデンウィーク明けごろから申請が始まり、面談・発達検査・見学や体験・行動観察などを経て、秋ごろには就学先の方向性が決まっていく流れです(正式な就学通知は1月末までに届きます)。つまり、「秋になってから動けばいいか」と思っていると、実はもうギリギリなんです。
ここは少し注意が必要なところで、調べると「秋が締め切り」と書いてあるところもあれば、「夏前には動いたほうがいい」と書いてあるところもあります。時期も進め方も自治体によって差があるので、ネット上の一般的な流れは目安として、実際のスケジュールはお住まいの教育委員会に、年中〜年長の春の段階で早めに確認しておくのが確実だと思います。
具体的には、こんなことをしてくれます(一例)
① 発達検査を受けて、特性を分析してもらえます
発達検査や行動観察を通じて、その子の得意・不得意、集団の中でどう過ごしているかを、専門的な目で見てもらえます。
そもそも「健常」か「障害」かという区分自体、便宜上のものだと私は思っています。誰にでも、多かれ少なかれ得意・不得意の凸凹はあるはずです。発達検査を受けることで、親も先生も、その子にどう接するのが合っているのかが具体的に分かるようになります。お友達に説明するときの材料にもなります。学校で言われる「合理的配慮」も、こうした情報があってはじめて、その子に合った形で行えるものだと感じています。
② 学びの場を、実際に見学・体験できます
通級や特別支援学級がどんな雰囲気か、話で聞くだけでなく、見学したり体験したりできることが多いです。
③ 専門家・学校・保護者で話し合う場が持てます
教育・医学・心理などの専門的な見地からの意見を聞きながら、保護者としての希望も伝えられる場があります。
④ 入学後の学校に、様子を引き継いでもらえます
相談で分かったその子の特性や、うまくいく関わり方を、入学する学校側に事前に共有してもらえることがあります。
ひとつ正直に書いておくと、こうした支援の中身や手厚さには自治体差・地域差があります。ここに挙げたのは「だいたいこんな感じ」という目安と受け取ってください。
「早めにつながれてよかった」を、現場で何度も見てきました
以前の記事で、保育園時代から複数の機関が関わり、就学のタイミングで新旧のメンバーが一堂に会して引き継ぎを行い、子どもの支援と親の支援をセットで進めたご家庭の話を書きました。焦らず1年以上かけて、今はとても落ち着いて過ごせています。
就学相談は、まさにこの「引き継ぎ」の入口になる場です。その子の特性を、本人も周りも早めに理解できると、入学後のミスマッチをかなり減らせる——これは現場で繰り返し見てきた実感です。
逆に、相談を受けないまま入学すると、こんな悪循環が起きることがあります。「なんでできないんだろう」と親が理由の分からないまま悩み続けたり、年齢相応にできて当然と求めすぎてしまい、当事者の子が荒れてしまったり、親もイライラが募ったり。求めすぎてもうまくいかないと、今度は「自分の育て方が悪かったのかもしれない」と自分を責めてしまい、それが強い叱り方につながってしまうご家庭もあります。
それは、その親御さんが悪いわけでは決してありません。ただ、その子に合った関わり方を早めに知っているだけで、防げる悪循環があるというのも、また事実だと思います。
ちなみに、いま国は「5歳児健診」を2028年度までに全国すべての自治体で実施することを目指していて、導入する自治体が増えてきています。就学の前に、発達の様子を丁寧に見立てて、必要な支援へ早めにつなぐ——就学相談も含めて、世の中全体がその方向に動いている、ということだと感じています。
まとめ——うちも、いま受けている最中です
就学相談は、「うちの子は特別な子です」という手続きではなく、「うちの子の取扱説明書を、専門家と一緒に作る場」くらいの感覚で捉えるのがいいのではないかと、今は思っています。
わが家も、いままさに子どもの就学相談を受けている最中です。専門職としてたくさん見てきた制度を、今度は親として体験しています。不安よりも、この子に合った関わり方を一緒に見つけられる機会として、楽しみのほうが大きいです。
発達の気がかりについては、以前書いた児童発達支援センターの記事もあわせてどうぞ。
▶ 何度言っても伝わらない、癇癪(かんしゃく)にイライラ、うちの子何か違う?〜『様子を見ましょう』の先にある児童発達支援センター
就学した後の学校の外の居場所については、こちらの記事にまとめています。
▶ なぜだか学校に行きたくない、朝になると不調になり、いつしか昼夜逆転生活に。休ませていいの?〜学校の外にある居場所『教育支援センター』
制度は自治体によって運用が異なり、改定されることもあります。注意深くまとめていますが、誤りがあれば都度修正します。実際の利用にあたっては、お住まいの教育委員会など関係機関にご確認いただけますと安心です。
※この記事は、夫婦の現場経験をもとに書いています。
ゆるきりん🦒
